1996年アメリカ視察旅行での裏話
- 2020.03.28
- グリーンカードジェーピーについて
私がインターネット関連の仕事をしたい!と決めたのは、1955年の10月から放送された「新・電子立国」というNHKのテレビ番組を観たのがきっかけだった。 (「新・電子立国」についてはこちらを参照)
元々アメリカでコンピューターや周辺産業を学びたいと思っていた私は、とにかく居ても立ってもいられず、一年がかりで資金を貯めて、1996年の9月にアメリカに渡った。 目的はアメリカのIT企業訪問と映画が大好きだったので、映画会社やロケ地、ロケ現場の見学。
渡米前に、私の大好きな俳優のロバート・デ・ニーロが出演した映画「ヒート」のレビュー番組を観て、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが対面して会話するシーンを撮ったレストランの情報を掴み、色々と調べ回って、そのレストランの所在地を特定できたので、渡米中に行くことにした。
IT企業には友人達にも協力してもらって手紙を書き、送付したが、訪問許可の返事はひとつも来ないまま渡米することになり、不安と期待を抱えながら、飛行機に乗った。
機内では一睡もできず、アメリカに降り立ち、空港から最初に目指したのはLAのダウンタウン。観光情報を入手するための施設がそこにあるはず。
ところがタクシーで現地に着くと、週末で閑散としていて、辺りに人はいなくて、目指した施設もどこにあるのかわからない。どうしようもなくて途方に暮れていると、交差点の向こう側に何やらロケ隊を発見。映画好きの私はさっそくその現場に足を踏み入れた。
クレーンやベースが並んでいて、ディレクターズチェアがいくつもあって、スタッフがそこら中にいて、その現場を見るだけで興奮した。
何という映画の撮影かはわからなかったが、私はなるべく近くまで行ってしばしロケ現場を見学した。 すぐ近くに髪の長い白人男性とフランス語を話しているキレイな女性がいて、二人で英語とフランス語で会話していたが、何を話しているのかはわからなかった。すると女性の方が私に気づいて、英語で話しかけてきた。以下は何となく覚えている会話の概要。
女性「旅行?」
私「今着いたばかりだけど、観光施設がどこかわからなくて…」 たどたどしい英語で話す私にも彼女は丁寧に対応してくれた。
女性「どこから来たの?」
私「日本の大阪からです」
男性「へ〜日本からきたの」
私「映画の撮影ですか?」
女性「そうよ○○○という映画」 ○○○がはっきりと聞き取れなかった。
私「観光局の場所を知ってますか?」
男性「あっちだよ」 そう言って私が来た方向を指さして、男性が早口で説明をはじめた。私がおろおろしていると
女性「あなた、言ってないで、案内してあげなさいよ」的な事を男性言ったのだと思う。
男性「ごめんごめん。そうだね交差点まで案内するよ」という感じで、誘導してくれた。
男性について行き、交差点で信号待ちをしていると、男性が話しかけて来た。
男性「一人で来たの?若いね?日本は好きで行った事もある。パチンコが好きだ。パチンコ知ってる?」
私「パチンコは得意でした」
男性「そうか、いいね!」 と、言って握手した。
交差点の向こう側を指さして、「あそこが観光局だけど、今日は閉まってると思うよ。○○○(映画のタイトル)観てね!僕も出てるんだ。今度日本に行ったら案内してよ」
私は「もちろん!」と答えて手をふりながら信号を渡った。
私は、アメリカ人は親切な人が多く、フレンドリーだと聞いていたし、バイトしていたブリティッシュパブでもそれを実感していた。
アメリカに着いて初めて会話した二人がとても親切だったので、その男性も女性もはっきりと顔を覚えた。
信号を渡る時、彼は「いい旅をね!気をつけて行くんだよ!」と応援してくれた。 彼の言うとおり、観光局は閉まっていたが、何冊かパンフレットを入手して、ハリウッドに向かった。
ハリウッドには名所として有名な「マンズ・チャイニーズ・シアター」などもあるが、私が主目的にしたのは「LAフィルムパーミットオフィス」ここでは映画のロケなどの許可を取り、そのロケ地情報が無料で配布されている。
当時、私が入手した日本の資料にはその事が詳細に記されていたが、現地ではマイナーな役所なのか、すぐ近くで警察官に尋ねても知らなかった。それでも何とかロケ地情報を入手することができた。 私は二人から聞いた○○○をロケ地情報から探した、するとリストの一番目に載っていたのだ。
その映画のタイトルは「CON AIR」私は帰国後にこの映画を観て愕然とした。 何と、初めて行ったアメリカで途方に暮れている私を助けてくれたのは、この映画の主人公、ニコラス・ケイジだったのだ。
あのとき一緒にいた女性は出演者ではなかったようだけど、初めてアメリカに行って、右も左もわからなかった私を助けてくれたことにには、今でも感謝している。
私はそれ以来、ニコラス・ケイジが出演する映画を全て観ている。 彼が出演している映画を観ていると、あのとき、何となく交わした「今度日本に行ったら案内してよ」と「もちろん!」の約束を今でも思い出す。私は無条件でニコラス・ケイジの大ファンだ。
※この記事は2011年1月にECSブログに掲載したものを転載しています。
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